Path Finder Interview

ANZCCJ 伊藤暁弘様

在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所(以下、ANZCCJと略記)のオペーレーションズ・マネージャー伊藤暁弘様より、オーストラリア・シドニーの職業訓練専門校TAFEへの留学と現地企業での就業のご経験を伺いました。

どのような経緯で留学を思い立ったのですか。

就職後に訪れた海外での英語でのコミュニケーションに楽しさを感じた事が最初の契機でしょうか。

大学卒業後はメーカーの営業職として働いていましたが、営業成績が良いと褒賞として海外旅行に行ける制度があり、自分もシンガポールや東南アジアへ行かせて貰いました。海外での英語でのコミュニケーションに楽しさを見つけ長期休暇になると海外へ自費で出向いていましたが、旅行だけでなく海外で仕事をしてみたい、国際的なビジネスのマネージャーになってみたいと次第に感じるようになりました。

海外旅行が留学のきっかけなのですね。それだけ旅行されると英語力も十分に身についていて、目標もはっきりして安心して留学に望めましたね。

それが…留学には英語能力の証明が必要になります。会話は良いのですが試験の点数となると別の世界で…まずは英語検定試験のスコアを上げる必要がありました。

どのような勉強をしたかったのですか。また、求められる英語レベルまでどのように達成したのでしょうか。

先にお話ししたように、国際的なビジネスパーソンになりたい、マネジャーになりたいという夢がありましたので、オーストラリアの職業訓練校であるTAFE(Technical and Further Education)という職業訓練専門学校でマーケティングのCertificateを取得して自分のキャリやに生かしたいと考えていました。(参考:https://www.studiesinaustralia.com/

コースによって求められる英語能力のレベルは異なりますが、このコースの場合はIELTS (https://ieltsjp.com/)という英語検定試験で、5.5かそれ以上が求められました。

目標が定まっても、現状とのギャップをどう埋めるのかを具体的に計画しなければ達成は難しいですよね。私の場合、英語力を1年という短期間で上達させるために、IELTSに特化したフィリピンの英語集中コースに3ヶ月間参加し、朝から晩まで勉強を重ねて毎週模擬試験を受け、求められるスコアを超えることができました。人生で一番勉強した時期だったかも知れませんが、目標から逆算して攻める事でより真剣味が増したと思います。(フィリピン留学時:29歳)

何を学ぶのか、なぜ学ぶのか目的を明確化し目標をしっかり立てて揺るぎない気持ちでギャップを埋めて行かないと、短期間での達成は難しかったですね

もの凄い集中力で目標達成ですね。

最終的にはIELTSは6.0を得て意気揚々と留学しましたが、必要な英語レベルに達していても現地での授業について行くのは大変でした。(オーストラリア留学時:30歳)

同じ英語と言っても英語学校で学んだものとは異なるアクセントで、慣れるのに時間がかかったんですよ。マーケティングの授業は週3日、5週間の準備コースと半年間の本コースの授業内容は充実していましたが、毎日図書館に通って勉強に励みました。

TAFE校舎前にて

勉学に向いた生活環境だったのですか。

最初は日本人だけのシェアハウスに入りました。外国人も居るシェアハウスでも良かったのですが、現地での生活や勉強の様子などインターネットではわからない生きた情報を得るために、まずは日本語が通じる世界で生活しながら勉強しました。

その後は多国籍のシェアハウスに移り、各国からの留学生たちとの生活も楽しみました。写真は各国から来た友人たちとのパーティーでの一コマですが、勉強を離れて交流する時間はとても楽しかったですね。

オフと言えば、毎週日曜日に様々な国の出身者と共に、学生時代から続けているサッカーをしていました。また、オーストラリアのカフェ文化に浸るべく友人らとブランチを食べ歩いたり、海岸沿の遊歩道を歩いて景色を楽しむなど、スポーツや食文化、大自然を楽しみ、オンとオフのメリハリをつけていました。仮に言葉が通じなくてもスポーツはルールさえ知っていれば皆で楽しめ、また汗をかくのでストレス発散にもなり、一石二鳥でした。

海外で働きたいという夢はどのように叶えたのですか。

オーストラリアの企業で働いてみたいと思いながら授業を受けていましたので、就職情報やアルバイト情報にはいつも目を通していました。旅行代理店でのアルバイトを見つけて応募し、日本からの旅行客のホテルやレストランなどのご予約などを担当して精力的に働いていたところ、現地社長に認められワーキングビザを発行して呉れる事になり3年間働きました。一生懸命学んで働いていると、誰かが見ていて呉れるものだと思います。こは自分にとって大変貴重な経験となりました。

留学でマーケティングを学びオーストラリアで就業して経験を積んできましたが、日豪間のかけ橋としての仕事に興味を持ち帰国、オーストラリア・ニュージーランド商工会議所にてマネジメントの仕事をしています。(日本帰国時:33歳)

夢を思い描いてから約10年かけて実現された伊藤さん、これからオーストラリアやニュージーランドで学んでみたい、働いてみたいと思う若者やシニアに向けて、アドバイスをお願いします。

海外に出向いて自分は何をしたいのか、目的や目標をはっきりしておく事が重要と思います。と言うのも、理想と現実が異なり思い描いたような状況にならず、「こんな筈ではなかった」と失意のうちに帰国する人たちが少なくありません。留学や就労経験の後に帰国した時の自分を思い浮かべ、どのような人間に育っていたいのかを自問自答してみる事を先ずお勧めします。

夢を実現するには、明確な行動計画が必要です。目的や目標が定まったら、いつまでに何をしなければならないかを逆算して明確化して行く、そのようなアプローチが良いと思います。準備期間を含め、留学や現地就労中は思い通りに行かないこともありますが、そんな時に自分の確固とした羅針盤、コンパスを持っていれば霧の中でも航行することができますよね。

このように思ったのは、家族や周囲から必ずしも留学に賛同を得られなかった事が影響しているかもしれません。周囲を納得させるには確実な計画のもとで成果を上げなければ信用して貰えず、自分で厳しい目標設定を課していたのだと思います。

勿論、海外で生活してみたいという事を目的とするのでも良いと思いますが、何のために、何故生活してみたいのか、とことん考えて実行に移すと良いでしょう。

現在は留学しにくい状況にあり夢を叶えられないと残念に思う方も多いかと思いますが、却って計画や準備に当てる時間が長く取れると言うメリットもあるかと思います。ネットやブログにも情報がたくさんありますから、よく調べてよく考え、有意義な留学・就業経験となる事を祈念します。

貴重なご意見、ありがとうございました。オーストラリアへの留学と就業経験を生かし、日本との橋渡し役として益々のご活躍をお祈りします。

インタビュアーより:

明確な目標設定と「逆算」により夢を実現した伊藤さんにお話を伺い、目標達成のための道を一歩ずつ確実に歩むことの大切さを感じました。(次はどのようなチャレンジが待ち受けているのでしょうかね!)